Vol.1 ドイツ・ボン市

ドイツのボンで移動式茶屋を営む市川さん

ドイツ西部、ケルンの南約20kmのライン川沿いに位置するボン。ここで、自転車と荷台で移動式のお茶屋(ドイツでは”Teestand”と呼ばれている)を営んでいるのが、市川亮治さん。早朝は朝8時から10時まで、ビジネス街に続く地下鉄出口のすぐそばで働くビジネスマンたち(主に国連、DHL、Deutsche Welle(マスメディア会社)、郵便局で働く人たち)を相手に、日本茶の販売をしています。

「個人的にはもうちょっと落ち着いた雰囲気の場所でお茶を売りたいんですけど、なかなかそうはいきません。」
「お茶はコーヒーと違って安らぎを与えてくれます。僕自身、実はコーヒーが飲めないんです。だから、自分が味わうことができないものをお客さんには提供しない!っていうのが、僕のモットーです。よくお客さんから、コーヒーはないの?って聞かれるけど(笑)」

市川さんは、基本的にはテイクアウトのコーヒーのように、できたてのお茶を紙コップの容器に入れて持ち帰れるように販売しており、また茶葉の販売も合わせて行っています。お茶は一杯1.50~3.00€で、それぞれ香りと味が異なる11種類の茶葉を用意。男性客に人気があるのが、暖かみとボリュームのある「かぶせ茶」の一番茶で、女性にはマイルドな口当たりで後味がほんのり甘い「茎茶」が人気だそう。

週末にはライン川沿いの落ち着いた場所に店を出し、小さなベンチを2つ用意して、お客さんが腰をおろしてゆったりとお茶を満喫できるようにしています。その場合には急須と湯呑みまたはガラスのコップなどでお茶を提供します。この安らかな”お茶のオアシス”、お祭りや賑やかな催し物しか知らないドイツ人にとっては目新しい体験で、特に女性客から人気なんだとか。

「ドイツはコーヒー文化なので、お茶(特に緑茶)はあまり馴染みがありません。ある調査によると、外出時注文する飲み物の99%がコーヒーらしいです。ですからマーケットもシェアも断然小さいですが、少しでも日本の緑茶文化を理解してもらおうと日々がんばっています。」

市川亮治さん

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